3月から会社説明会が解禁。本格化を目前に就活の話をする。
<就活に関する軽いプロフィール>
年間約200名の大学生の就活相談にのっている。社会人になってから日も浅いので、大学生の悩みに全力で共感できるのだが、「エエエ・・・」とズッコケることも少なくない。特に「食品業界志望の学生」がヒドい。
何故なのか。
彼らは必要な情報を収集しきれていないからだ。
「やりたい仕事ができる企業」だけで志望すると失敗する
「就活のこと全然分かってない。何だこのクソ野郎」と思った方はもう少しだけ辛抱して読み進めてほしい。
多くの就活生は就活本などでこう教えられている「就活は大学受験とは違うのです!就職偏差値の高い場所を目指すのではなく、自分がやりたいことを考えて、自分に合う社風の会社を探すのです!」と。
もちろん嘘ではない。しかしだ。大学受験の時を思い出してほしい。「自分の偏差値」と「志望先の偏差値」を常に比較し、チャレンジ校(別名:記念受験)、第一志望、第二志望、滑り止めを選んでいただろう。理由としては「本当に行きたい第一志望が落ちてしまった場合、浪人するぐらいなら妥協して第二志望に行く方がマシ」と思っているからだ。
就活も同様に「自分のレベル」と「志望企業のレベル」を意識しながら志望企業を考えてほしい。
ビックリするぐらい、このことを考えられていない人が多すぎる。それは前述の教えをきちんと守りすぎて「やりたいことを実現できる企業探し」に夢中になっているからだ。
「志望企業のレベル」を知るための手段の一つに「倍率」がある。
食品業界の倍率
(引用元:内定競争倍率「高い50社、低い50社」はどこか | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)
黄色で塗りつぶしているセルは私が加えた数値です。
引用元の東洋経済は単純に応募人数と内定者数で倍率を出していますが、企業は内定辞退されることを見越して、実際に出す内定の数はもっと多いです。便宜上内定者数の2倍の内定を出していると仮定して実質倍率を出しました。
お菓子の「明治」に内定をもらえると思うのは何故なのか
明治に行きたいです、商品企画でお菓子作りたい。
ツッコミどころ満載のあなたに聞きたい。ところで実質倍率1375倍だけど大丈夫?
早慶だけで1学年1万7000人の学生がいる。院進学とか留学とかなんだかんだで8割の学生だけが就活するとしても約1万4000人。そのうち1割の学生がなんらかの形で食品に興味を持っているとすると1400人いるわけ。
適当に見積もったけど、もしかしたら早慶の学生だけで1400人が明治を志望しているかもしれない。その時に、実質倍率1375倍だとしたら、早慶1400人の志望者の中でも1人しか選ばれない。あなた自信あるんですか?っちゅう話ですよ。
早慶だけでこのレベルですよ。旧帝大、中上位私立大学の学生も志望していることを考えると震えが止まらない難しさです。
※「学歴が全て」という話ではないです。このレベルの大学で考えるだけでも志望する人が多くて、その人たちと戦って内定を勝ち取る必要があるという「厳しさ」を感じてください。
※チャレンジ受験が悪いということを言いたいわけでもない。チャレンジをするのであれば、「ダメだった時」のためのプランBを用意しておきましょうって話。
食品業界にしか興味を持てないんです・・・
食品業界にしか興味を持てないという理由で「第二志望校」や「滑り止め」を全く考えていない人も多すぎる。
「食品業界に興味あるんだ。ところで食品にそんなにこだわる理由って何?」
そんなに夢見る仕事ってことは、食品業界での就職を夢みて大学1年の時から食品について学んだり、挑戦してみたわけですね?
え?毎日ご飯の時間が楽しみで、「食」は人にとってなくてはならないもので・・・って、はいはい。人類のほとんどが感じていることの説明をありがとうございます。
ぶっちゃけ、食品が自分にとって身近なだけで他の業界知らないだけじゃないの?
食品業界を志望する人がよく言う「みんなの生活を支えたい」って、他の業界も支えてるわ。いわゆるインフラ業界(電気、IT、水道)、BtoBメーカーなどなど。
初めて知りました?
就活は時間との勝負でもある
「やりたいことがある!」その熱意は結構。
だけど本当にやりたいことなのか。就活を目前に頑張って捻り出しただけじゃないの?そんな軽い思い込みで高倍率の企業だけ志望する。企業説明会に出向いて、薄っぺらい志望動機を捻り出してなんとか〆切ギリギリに提出する人が多すぎる。時間の無駄じゃないですか。もう一回言うけど、みんなが目指す「明治(お菓子メーカー)」の倍率は1375倍ですよ。
こういう学生を見ると「裸で竹やり持って、宇宙人と戦おうとしている人」を見てる気分になるんですよ・・・
主に大手企業の動きですが、今年は3月に会社説明会スタート、3月中下旬からES提出の第1次〆切。4月以降は水面下で(社員懇談会という名目で)面接開始というスケジュールで動く企業も少なくないと思われます。(昨年はほぼこんな動きでした。スケジュールをバカ真面目に守っている一部企業を除いて)
つまり時間との勝負。限られた時間で、どの企業にES出して、どの企業の面接準備をするのか選択する必要がある。
この記事で、改めて言いたかったことは、2点。
・「自分のレベルを知る」「企業のレベルを知る」を意識して少しだけ現実的になろうぜ。
→悔いない就活をしてほしいですが、裸で竹やり持ってエイリアンと戦いを挑む姿には涙ちょちょぎれます。
・食わず嫌い(調べもしないで嫌っている)を止めて、他の業界の魅力に気付く努力をしよう。
→「みんなの生活を支えたい」のであれば、社会・人々の生活を支えるインフラ業界(電気、IT、水道)、BtoBメーカーで良いはずです。「できれば自分の商品が目に見えた方がいいんです」って言う人は、エエそうですか。そんなにこだわりが強いんですか。じゃあ、仕方ないですね。頑張ってください。
就活生を傷つけたくてこの記事を書いたわけではない。目指すにしても、最低限の事実は知ってから「食品を志望する」という「選択」をしてほしいと思って書いてみた。。
私の力不足ですが「裸で竹やり持って、宇宙人と戦おうとしている人」にはこういう話って全く響かないんですけどね。
精進します・・・
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