ブロギングなう

毎日ブログを書けば文章力が上がるのかを検証中

3分で分かる「AI時代におけるAIと人文科学の可能性」『センスメイキング』の著者クリスチャン・アスビアウが語る

Sponserd Link

「AI時代におけるAIと人文科学の可能性」という講演会に参加してきたので、その時の内容を3分で分かるようにまとめました。

※あくまでも個人のメモであることを念頭に読んでください

 

参加日時:2019年5月29日(水)19:00~20:30

開催場所:立教大学池袋キャンパス 

講師:クリスチャン・マスビアウ

f:id:ujin11:20190613221227p:plain

 

クリスチャン・アスビアウさんの紹介

ReDアソシエーツ創業者、同社ニューヨーク支社ディレクター。 ReDは人間科学を基盤とした戦略コンサルティング会社として、文化人類学社会学歴史学、哲学の専門家を揃えている。マスビアウはコペンハーゲンとロンドンで哲学、政治学を専攻。ロンドン大学修士号取得。現在、ニューヨークシティ在住。

https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002306.html

 

2018年11月発売の『センスメイキング ~本当に重要なものを見極める力 テクノロジー至上主義時代を生き抜く審美眼を磨け~』という本が丸の内のコンサル界隈でバカ売れしており、今回の来日に至ったとのこと。

センスメイキング

本当に重要なものを見極める力 テクノロジー至上主義時代を生き抜く審美眼を磨け

ってワクワクしつつも、中二くさい売り文句だなと

 

著書の内容も少し紹介

本書のテーマは「人」である。もっと具体的に言えば、文化に光を当てたものであり、我々の時代の揺り戻しを描いた書籍である。今や人々は、STEM(科学・技術・工学・数学)や「ビッグデータ」からの抽象化など理系の知識一辺倒になっているため、現実を説明するほかの枠組みが絶滅寸前といってもおかしくない状況にある。世の中を数字やモデルだけで捉えるのをやめて、真実の姿として捉えるべきだ。いや、そもそも真実は1つしかないのだ。偽物の抽象化の世界を追いかけていると、人間の世界を感じ取る力を完全に失う重大な危険をはらんでいる。アルゴリズム全盛の今、我々の感性は麻痺しがちだ。

https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002306.html

と、現在のSTEM、人工知能一辺倒の流れに疑問を投げる内容。

 

 

講演会の内容

・マスビアウ先生は哲学や政治学が専門だが、人間に関心の無い人が(人の行動を決めるような)アルゴリズムに携わることに危機感を抱いた
・人は「機械は何でもできる」と想いがちだが、過信は危険

「凄い凄い」と言われているアマゾンレコメンドからの購入率は10%程度)
・PCを使いすぎている人は数学の能力が劣るという研究結果もある
・Big DataとThick Dataを使いわけよう
Big Dataアルゴリズムのためのデータ、数値化できるもの。
Thick Dataは人が感じているもの、体験に基づくもの。(リベララルアーツで学べるのはこっち)
・Thick Dataは母数が少なくても、観察対象を深くまで知ることができる。母数は35名ほどで十分だが、
統計定期な優位性はない。インタビューする前に必ず仮説を立てて、インタビュー後に検証することがポイント。
・Big Data とThick Dataを融合して考えることが未来のあるべき姿であり、将来のAIは技術者と人文科学の専門家との共同によってつくられる。
補足:日本では、AI研究に人文科学系の専門家を必ず含めるような方針を策定中
・給与で比較した時に、新卒の待遇はコンピューターサイエンス出身者の方が多いが、中途採用の場合は上位10%は人文科学系出身者の方が3倍多い。
多くの親はデータサイエンスや工学といった「実学」を学ばせたがるが、リベラルアーツ(哲学、古典を読むことなど)を通して、「どう生きるか、どう決断するか」を考える力が養われる。これは、日々を生きる中で必要な力。人の生き方を考えることは、人間が得意とすること。人の生き方を理解せずに「決断」をすることは難しい。リベラルアーツは金持ちのためだけのものだと言われるが、実用的なものだ。

・単なるデータだけでは見えてこないことを理解することが大切。体験を通して全体像が見えてくる。地域、社会現象を真に理解できる。

・Thick Dataの重要性を証明する10の事例を紹介。LegoAdidas、高級車、トラック、など

例えばAdidasの事例。
マーケターは、どうしたら売り上げを上げるのか?を考えがち。
しかし、アディダスが他のブランドと異なり凄いのは、人が本当に必要としていることに気付いたから。
ある人が走る理由は、金メダルを取りたい、速く走りたいからではなく「ドレスを着たいから」
これは彼女を観察し、質問したから気付けたこと。
データだけを眺めていたら理解できなかった点であり、「速く走りたいんだ」というのはマーケターの思い込み。世界がどうなっているか、人の気持ちを理解していないと発見できないこと。(人文科学の領域)

 

余談:読書について
アスビアウさん自身は、1週間に10冊の本を読んでいる。アメリカ大統領ですら1週間に3冊は読んでいるので、一般人も読めるはず。
自社では、社員に対して「本を読むことを止めたら仕事を辞めろ」と言っているとのこと。

 

感想

・「中途採用は人文科学系の方が収入が多い」と。前世代はテックが浸透する前だし、要職についている年寄りは給与が高いだろうから、これを根拠に人文科学系の方が「稼げる」とは言い切れないのではないかな・・・

リベラルアーツを「実用的だ」と言い切っているのは衝撃的だった

・とはいえ、データサイエンスの知識も大切だということは再確認できた